箔押しとはホットスタンプ、あるいはホットスタンピングなんて呼び方をしたりします。
真鍮やマグネシウムなどを好みの図柄やロゴに削って加工した刻印を用いて、その模様をさまざまなカラーの箔を間にはさんで転写する技法のことです。
その呼び名からもわかるように、刻印を専用の機械で熱することで、対象のモノにロゴを入れたりします。
たとえば鉛筆のお尻に金色の文字なんかで刻印しているものがありますが、あの技術です。
箔押しにはもちろん専用の機械が必要となりますが、昨今では大手の通販サイトなんかでも安価なものが入手できるようになり、誰にでも「いちおう」は簡単にできる時代になりました。
レザークラフトをされる方は基本、DIYの精神と馴染み深く、箔押しもご自身でされる方もたくさんいらっしゃるかと思います。
私も一枚だけ必要だったりした場合、やむを得ず自分でやることはありますが、できることならお願いしたい派です。
というのは、やはり精度とコツが求められる加工ですので、拙い技術で行なってしまって、せっかくの貴重なパーツを無駄にしたくないということがあります。
また、箔押し加工を専門にされてる職人さんの存在が大きいです。
専門家の技術を間近に感じることは、ひじょうに幸運なことであり、この上ない刺激と興奮を得られます。
他社のことですので、詳しく書くのは控えますが、皆さんも利用されたことがあるかもしれない製品を仕上げられていたりします。
じつは当たり前のように流布しているので、その技術が使用されているということが埋もれてしまっていることも。
意外なところで、ひそかにホットスタンプの職人さんの技術のお世話になっていることも多いのかもしれません。


さて、先ほど申しました箔押しをするためのスタンプですが、素材は真鍮やマグネシウム板を用います。
両者の違いは何かというと、価格と厚みにあるかと思います。
真鍮加工の方が価格も高いのですが、刻印の溝を深く掘れるという特徴があげられます。
それに比べてマグネシウム版を用いたスタンプは割安ですが、深い溝を掘ることはできません。
ホットスタンプの職人さんに言わせると、その溝の深さが、つまり真鍮版のスタンプの方が、細かい模様やロゴをつぶさずに表現できるので、できたら真鍮の方が好ましいということです。
その弱点を理解した上で、毎シーズン違ったロゴを用意するため、コストをおさえようとマグネシウム版を使ってバリエーションをたくさん作るというブランドもありました。
もちろん予算との兼ね合いもありますが、ずっと長く使っていこうと思う刻印でしたら真鍮で作るのがいいのではないでしょうか。
うちではロゴの刻印をサイズ違いで二つ用意しており、製品にも貼り箱にも使っています。

ブランドのロゴ問題は忘れた頃に再燃したりしますが、ロゴを使っている身としては積極的なポジティブなものとしてとらえたいと考えています。
ロゴが刻印されたモノを見ると、大げさにいうなら、世界の中に住所を与えられたようなそんな存在証明を獲得できるような気がします。
刻印がなされているというただそれだけで、特別な感覚が生じるのはなんとも不思議です。
なんだか魔法がかっているような気がしませんか?
